あなたは夏休みに入る前に「読書感想文」の書き方を教えましたか
1 読書感想文の書き方は次の通り。
・はじめ 衝撃的な書き出し方を教えます。
「私は、この本を読んで主人公の我慢強さを学びました。」
「私は、頭を殴られたような衝撃を感じた。」
どちらがいいと思いますか?もちろん、後者ですね。
・中 自分と主人公を比べて、その違いを書く。
または「私ならこうする」ということを書く。
・終わり 結論。自分の学んだこと。主人公のこれから。自分の未来と重ねて
書く。「〇〇のようになることを夢見つつ。」と、かっこよく終わる。
2 このように「書き方」を学んでこないのでほとんどが「あらすじ」を
書いて、「楽しかったです」ちゃんちゃん。
こういうのは「読書感想文」とは言いません。
そして、「なんだよ、みんな書いてあるのが「あらすじ」じゃないか」
と嘆く教師。教えていないからでしょ、とツッコミを入れたくなります。
3 「読書感想文」で「感動を与える」んだと一言いうだけでも違います。
なぜ、書くのか、誰に向けて書いているか、これが肝です。
◆これは、今試しにさらっとかいてみた「走れメロス」の感想文です。
信頼は罪なりや
「信頼は罪なりや」太宰治が生涯を通じて追求したテーマ「信頼」。
それがわかりやすい文体になって「友情」としてすり替わったのが「走れメロス」である。
「夕日が沈むまで」という時間設定。途中の様々な障害。それでも「信頼するか、しないか」
という「ゆらぎ」そして「一度だけ、うたぐった」という真実。
これらの緊迫した状況設定のうまさは後世に残る「名作」である。
太宰が愛した女性が一度だけ犯した罪。それは太宰が入院中に起きた。
太宰はこの頃から「信頼とは何か」を追求し始める。そして、残した言葉が
「信頼とは罪なりや」である。
自分の内面と向かい合い、半ばやけくそになりつつも、戦争中に明るい作品を
書き続けた太宰。「走れメロスの王様は、一体、当時の誰だったのだろうか」
読者の視線は当然「メロス」に向かう。しかし、なかなか宮殿にたどり着かない。
もう、陽が沈む。もう、だめだ。その時に「メロスがまっぱだかであらわれる」
しかし、それは全てを投げ捨てても、「友情」につまり「信頼」にかけた太宰の意気込
みでもあったと思う。
私にも友人がいる。その中で「親友」に値する友人は3人。
私を心の中でいつも支えてくれている。そういった友をひとりでもいい。
持つことが、人生の喜びであり生きがいにつながっていく。
まさにメロスとセリヌンティウスのように。
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